SSブログ

35 『 メッセンジャー 』  [小説 『メッセンジャー』]

「失礼ですけれど、鈴木さんでいらっしゃいますか?」

「はい、そうです」

「ご依頼を受けましたメッセンジャーですけれども、メッセージをお伝えしてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい、お願いします」

  と、その少し気が弱そうに見える男性は返事をした。アタシは、きょとんとした顔をしている相手の女性に向かって、メッセージを読み上げた。

「れい子さんへ。私はあなたを愛しています。結婚してください」

  アタシがそう読み上げると、そのれい子さんは戸惑った顔をして依頼者の彼を見詰めていた。しばらくの沈黙の後、彼女が口を開いた。

「どうしてそんな大切な事を、人の口から言わせるの?あなたが言ってくれればいいじゃない。そうするべきものじゃないの。私、今の言葉を、あなたの口から聞きたかった」

タグ:小説
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。