SSブログ

013 『雨宿り』 [イメージ小説『雨宿り』]

修学旅行から帰り、通常の授業に戻った。

旅行の興奮からまだ冷めていないように、
思い出話が盛んだった。

雨田はなにも無かったように、いつもと同じだった。
休み時間、他のクラスメート達が賑やかにしている中、
机に座って、次の授業の予習をするかのように、
教科書を、うつむいて眺めていた。

ふとしたはずみに、雨田の消しゴムが、机から転げ落ちた。
雨田は消しゴムを目で追いながら、それを取ろうと身を動かした。

そうするやいなや、

「はい、落ちたわよ」

と言って、落ちた消しゴムを拾って差し出す手が、
身をかがもうとしていた雨田の目の前に延びてきた。

「あ、ありがとう」

つぶやくように雨田が礼を言って、その消しゴムから視線を移すと、
そこに居たのは、影木だった。
一瞬二人の目が合い、雨田は緊張した表情をし、すぐにうつむいた。
影木はそんな雨田の様子を見て、自分の席に座った。
そして、ミオと話し出した。

ミオは、影木と雨田を交互にちらちらと見ながら、
いつものように、他愛の無い話を始め、笑っていたのだった。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
UFO?014 『雨宿り』 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。