005 『雨宿り』 [イメージ小説『雨宿り』]
南向きの教室の窓から、秋の日が差し込んでいた。
選択科目の授業が休講になり、その教室では自由勉強になった生徒が三人だけいた。
窓から二列目、後ろから二番目の席で、雨田が教科書を見るとはなしに開いていた。
教室には他に、自分の席に着いた影木とミオ、彼女たちだけだった。
日頃、息が詰まるようにも感じられていた教室に、三人だけ。
窓から二列目、縦に並んで、三人が座っている。
影木の前の席のミオは、体を横に向け顔を影木に向けて、髪が垂れて隠れた表情を確かめるように、
「ヒロ・・・」
と、何回も小さく語りかけていた。
返事はなかった。
影木のすぐ後ろの雨田は、前の席の彼女たちのことが気になる様子もなく、教科書に向かってただうつむいている。
少し開けられた窓から風が入ってくると、雨田が息継ぎをするように顔を上げ窓の方を向いた。
と、その時、影木が突然後ろに振り向き、雨田の机に伏せるようにして両手で顔を覆った。
二人の制服が、日の光に照らされてた。
選択科目の授業が休講になり、その教室では自由勉強になった生徒が三人だけいた。
窓から二列目、後ろから二番目の席で、雨田が教科書を見るとはなしに開いていた。
教室には他に、自分の席に着いた影木とミオ、彼女たちだけだった。
日頃、息が詰まるようにも感じられていた教室に、三人だけ。
窓から二列目、縦に並んで、三人が座っている。
影木の前の席のミオは、体を横に向け顔を影木に向けて、髪が垂れて隠れた表情を確かめるように、
「ヒロ・・・」
と、何回も小さく語りかけていた。
返事はなかった。
影木のすぐ後ろの雨田は、前の席の彼女たちのことが気になる様子もなく、教科書に向かってただうつむいている。
少し開けられた窓から風が入ってくると、雨田が息継ぎをするように顔を上げ窓の方を向いた。
と、その時、影木が突然後ろに振り向き、雨田の机に伏せるようにして両手で顔を覆った。
二人の制服が、日の光に照らされてた。
コメント 0