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097 『 天国からの友だち (a friend from heaven) 』 [小説『a friend from heaven』]

「ねえ、りょう君。今は、生きている意味がないなんて思ってないでしょう?」
「うん。今はそんなこと思ってないよ。かおりがいるから、生きているのが楽しい。かおりがいたから、普通に生きて行けるようになった。神様も信じてる」
「うん。だったら、よかった。私はね、神様をずっと信じてたの。
いじめられていた時も、神様がいつか助けてくれるって信じていたの。ひとりぼっちになった時も、神様がついてるから大丈夫だと思ってた。でも、私の不注意なのか、神様が天の国へ帰っておいでって言ったからなのか、この世からいなくなっちゃったんだけど、この世に忘れ物をしちゃったって思っていたの。
それはね、この世で私の本当の気持ちを、誰にも話せなかったこと。こころの中の気持ちを誰にも話せなくて、理解してもらえなくて、それが悔しかったの。私のこころの中に、未練っていうか悔いが残っちゃったの。だから、天国でも楽しく暮らせなかった。
そんな時に、りょう君のこころの叫びが聞こえてきたの。気になってりょう君のこころの中を見たら、私と同じように、誰かに本当の気持ちを理解してほしい、助けてほしいって言っているのが見えたの。だから、りょう君に会いたい、会いに行かなきゃって思って、会うためにこの世に降りてきたわけ。それで、りょう君と実際に出会って、話を聞いてあげて、理解してあげようと思ってたんだけど、話をしていくうちに、私の話をりょう君は真剣に聞いてくれて、気持ちを理解してくれたの。
りょう君は、私に助けられたって思っているでしょうけれど、私も、りょう君に助けてもらったのよ。だから、私も思うの。りょう君と出会ったのは、神様がそうさせてくれたのかもしれないって」

タグ:小説
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